ご相談の前に

相談前にしておいて欲しい事を本ページではご案内します。
限られた時間の中で有効な回答をしたいので、ご協力をお願いいたします。

時系列の確認(いつ、どこで、誰に、何をされたのか?)

どのようないじめを受けたのか?を知るためには、聞き取りは必須です。そもそも、いじめ自体が自然と認知されれば、このような申告は必要ありませんが、必要が無ければ、各所に相談しなくても対応がされるはずです。
情報の基本としての4W(Whenいつ?Whereどこ?Who誰に?What何をされたのか?)は絶対必要な項目になります。箇条書きでも良いので、基本情報を書き出すようにしてください。記憶は時系列が前後するなどすることが多いので、付箋などに書き込んで並べ替えながら時系列を追っていくというやり方が有効です。

学校のいじめ防止基本方針

各学校は自ら定めた「いじめ防止基本方針」を設置しています。これは、いじめ防止対策推進法第13条が定めており、原則公開のものであって多くの学校がホームページなどのリンクに貼り付けています。しかし、中にはリンク自体が無かったり、公開のものなのに非公開にしている学校があります。そのような場合は、学校側に提示して複写を求めることができます。
このいじめ防止基本方針には、いじめの予防のみならず、いじめが起きた時にどの役職に当たる職員がどう動くかや学校内部に形成されるいじめ防止委員会に誰が所属することになるのかなどが定めてあります。いわば、いじめが起きた場合、学校に自ら定めたルールブックのようなものですから、役立つ役立たないのいかんを問わず、まずはこれを知ることが大切です。

録音と反訳

被害当事者については必ず録音機を持ち全てを録音することを当団体では推奨しています。事実交渉に当たる保護者においても電話を含め全交渉についての録音をお願いしています。これは、言った言わないを避けるためでもあり、録音により新事実や二次被害立証ができたケースが多く存在するからです。
また、録音は相手の許可を得る必要はなく、当事者間の会話については「秘密録音」となり、盗聴行為には当たりません。
また、録音をするからには自らの発言に十二分に配慮が必要です。稀に被害側保護者が怒鳴り散らしたり脅すなどの言動が見られるときがありますが、そもそもの交渉においてこれら行為は好ましいものではなくやってはなりません。
尚、録音は直接の証拠にもなりますが、第三者判断の際はその量は膨大になりやすく、聞くべき要所を示すように要望されるなどがあり、基本的には反訳(テープ起こし)をして文面で提出することになります。当団体では反訳(テープ起こし)は致しませんので、自ら反訳をする事を考えて録音する時間(話し合いの時間)を考えましょう。

証拠保全(保管)

物が壊されたり、教科書にいたずらをされた、服が汚れたなど物の被害、SNSなどの交流についてのいやがらせなど、証拠になるものは全て保全しなければなりません。
SNSの場合はスクリーンショットの他にバックアップ機能などを使って後の証拠となるように保管しましょう。物などについてもできる限りそのもの自体を保管し、写真撮影をしておきましょう。
・怪我は外科、精神的きついなどの場合は心療内科への受診併せて診断書
いじめの被害を受けると暴力であれば怪我をすることがありますし、精神的にきつい状態が続き適応障害やPTSDを発症することがあります。こうした場合は、治療の必要がありますので、治療を受けると同時に必ず診断書をもらうようにしてください。
ネットの情報と被害者の状況を医師以外の人が見立てても信ぴょう性が確保できません。診断書は有料になると思われますが、使用するしないの如何を問わず、被害状況を知るためにも重要なことになります。

開示請求(管轄の窓口に申請)

書類の開示は手続きから実際に開示されるまでに相当な期間がかかることが多くありますので、できる限り早めに開示請求をする事を推奨しています。
主に公立校に有効なことになりますが、学校を管轄する市区町村都道府県の役場へ行き、開示窓口から「いじめに関する全資料を開示したい」と申し出て窓口の案内従って手続きするようにしてください。
開示請求には「個人情報」「行政情報」2つがありますが、両方合わせて請求してください。開示請求の際、複写枚数によって印刷代などを規定料金で請求されますので、相応の費用が必要になります。
開示請求については自治体窓口によって対応が事実上異なるなどの問題があるため、当団体では詳細なご案内はできません。開示窓口職員に質問するようにしてください。
尚、開示請求をしても応じない決断を出す自治体も存在しますが、開示請求手続き自体を断ることは憲法上できません。日本は法治国家です。窓口で開示請求手続きができない案内が稀に生じますが、それは窓口職員による著しい違反行為ですので、簡単に引き下がらないようにしてください。

学校などが発行した記録や報告書

学校はいじめが発生した場合や申告があったとき必ずそのいじめについての調査をしなければなりません。法律では「いじめの疑い」が生じた段階で調査を求めており、被害申告の段階で、「いじめの疑い」となるとされています。
調査をした場合は、これらは記録され、管理職に当たる者に報告がなされます。また、管轄の教育委員会など学校の設置者に当たる組織にも基本的には報告があがります。
この場合は口頭である事もありますが、原則的に報告書の体裁を取るものです。
学校が発行する基本調査書や各プリントの全ては給食の献立などを含めて全て保管するようにしてください。
また、書面を渡さず口頭のみで説明する学校も中にはありますが、この場合は必ず録音し。後日確認できるように保管する必要があります。

欠席のカウント

通知表などにある出席すべき日数や欠席日数などは必ずカウントしてください。いじめで学校を欠席した場合、年間通算30日以上の欠席が認められるときは、不登校事案となり、いじめ防止対策推進法第28条にある「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。」に当たりますから、いじめの重大事態が発生したことになります。
重大事態いじめが発生した場合は、私学は管轄の首長に報告する必要があり、公立校も管轄の教育委員会に報告する必要があります。第三者委員会が発足しているケースは、全て「重大事態いじめ」です。
こうした事態を避けるため学校によっては、被害者が本来出席すべき日数を減らして欠席日数が30日に達しないようにしたり、事実欠席しているのに出席扱いにするなどの姑息な手段が見受けられます。
また、欠席日数によっては不登校事案として重大事態いじめの2号となるとその対応が、「いじめの重大事態ガイドライン」に沿うことになりますので、対応が変わります。
よって、相談前に必ず欠席日数をカウントする必要があります。

いじめ防止対策推進法通読

相談を受けている中、いじめ防止対策推進法を読んでいない方が多くいます。いじめ防止対策推進法は、いじめに直接関係する法律でさほど条項の多い法律ではありませんから、少なからず一度は目を通してください。
例えば、

いじめ防止対策推進法第2条はいじめの定義を定めています。

(定義)
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

児童等とは児童生徒に当たりますので、小学生は児童、中学生高校生は生徒の間で起きたことを「いじめ」とします。一定の関係性とは、同じクラスや学校などのことで、他の子から心理的または物理的な影響を与える行為を受けた被害者が心身の苦痛を感じた場合に「いじめ」が成立します。

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